00000009225771_a01 (368x430)
明治の文豪泉鏡花の戯曲を篠田正浩監督が映画化した1979年公開の幻想大作「夜叉ヶ池」
長い間DVD化されなかった幻の作品ですが、昨年デジタルリマスターBDがリリースされました。

激しい日照りが続いていた大正二年のある夏の日、岐阜県と福井県の県境にある三国岳の麓の琴弾谷のある村に一人の男がやって来た。諸国を旅する山澤学円という学者兼・僧侶である。偶然出会った百合という美しい女性に山澤は語った。一昨年のこと、萩原晃という自分の友人の学者が各地に伝わる不思議な物語の収集に出たまま行方知れずになり、その足跡を辿って諸国を旅しているのだと。そこへ百合の夫という男が現れる。その男こそ萩原であった。久々の再会を喜ぶ山澤に、萩原は自分がこの地に住み着いたいきさつを語る。一昨年、この地を訪れた萩原は、村で鐘守を務める老人と出会った。彼によると、昔、よく暴れ回り大水を起こしていた竜神を行力によって、三国岳の山中にある夜叉ヶ池に封じ込め大水を終息させた時、人間との誓いを竜神に思い出させるために、村では昼夜に三度鐘を鳴らさなければならない決まりになっているという。この決まりを現在も一人厳格に守っていたその老人が死んだため、その意志を継ぐべく百合と結婚して村に留まり、鐘を撞いていたのだった……

picture_02

文学の映像作品には日ごろ縁がないのですが、この作品はなんといってもクライマックスの特撮による大洪水のスペクタクルと、「妖怪大戦争」のごとく夜叉ヶ池に集合した妖怪たちが見ものです。三木のり平さんのナマズ、常田富士夫さんのカニ、井川比佐志さんのコイの掛け合いが愉快かも~他にも物の怪・鬼の類が大挙登場、なんせ英語タイトルが「DEMON POND」ですから~

それとなんといっても妖怪たちの総帥、竜神白雪姫を演じる坂東玉三郎さんの妖艶でミステリアスな美しさが圧倒的です~鐘撞きを継承した萩原の妻、百合のつつましさも女方特有の色気ですね。あの雰囲気は、最近の人気女優さんではなかなか出すのは難しいと思いマッス

矢島信男さん率いる特撮研究所が担当したクライマックスの水を使った特撮は圧巻です。白川郷のような山村が一瞬にして竜神の起こす洪水に巻き込まれ倒壊するスペクタクルは大迫力!
そしてラスト、洪水のあとの惨状に使われたのはなんと南米のイグアスの滝!すごいスケールの大パノラマですが、空気の質が違うというか一見して日本じゃないのが判っちゃうのが残念です~
そういえば冒頭でも唐突に南米の砂漠地帯とおぼしきところを主人公が歩いているシーンがあるんですが、変なサボテンとか生えてて違和感ありありでしたです~wwwダハハ
クライマックスで、滝ツボの上空を竜神が眷属を引き連れて天に昇っていく場面は、文学作品らしく幻想的で美しく、印象に残るシーンでした。

とにもかくにも、この作品は坂東玉三郎さんの存在感がすべてですね。何度も言いますが、あれだけのオーラを放つことは、今どきの女優さんでは難しいかも~あの艶っぽい所作はどなたも真似できないと思いマッス。さすが歌舞伎の女方の第一人者の実力を思い知りました。
撮影当時玉三郎さんは29歳だったそうで…ほんとビックリですゥ~ダハハ