イメージ 1

Chapter46 『GⅡ消滅』
 ガメラ(GⅡ)の身体から発せられる熱量の急激な上昇がサーモセンサーのモニターに刻々と記録されていく。周辺の海面から水蒸気が一段と激しく立ち上り、甲羅全体が再びまぶしいオレンジ色の光を放ち始めた。  
 オスプレイは、大きく弧を描きつつ急速に上昇しながら、櫛田が状況を簡潔に危機管理センターへ報告する。
「CIC、こちらシーガルツー、目標の進行方向に蒼龍王出現、シーガルワンが撃墜された。生存者確認不能。相対距離約1.2km、GⅡの体温急激に上昇、現在560°C…自爆の兆候あり。危険回避のためいったん作戦空域より離脱する」

「なんてこった。浦賀水道を抜けないと米軍の総攻撃ができんじゃないか!」
 棚橋大臣は思わず口を滑らせた。全員の冷ややかな視線が再び大臣に向けられる。
 米空母機動部隊は伊豆大島東方海域に展開、すでに艦上攻撃機群の発艦準備を完了していた。

   蒼龍王はゆっくりとGⅡとの距離を縮めてくる。GⅡも同じく蒼龍王に近づいていく。蒼龍王には表面上米軍のネオニュートロン攻撃によるダメージはまったく見受けられない。はたしてこれが結晶化して海自護衛艦ふたかみのハプーンで粉砕された個体なのかどうかも不明だった。少なくともガメラやイリスと違い、蒼龍王は一個体しか確認されていない。おそらく粉砕されたのは化学変化を起こして発生した外殻の結晶体のみで、本体は着弾寸前に海中に逃れたかワームホールにより異空間へテレポートしたのでは…CICの分析官はそう憶測するほかなかった。いずれにせよ、最も邪悪な忌むべき存在が再び首都ののど元に出現したことは紛れもない事実だった。

   GⅡはジャイガーとの闘いですでに著しく体力を消耗していた。おそらく蒼龍王と再びまみえるだけの力はもう残っていないと推測される。
 ついに蒼龍王が放ったハドロンビームがガメラの右脇腹を直撃する。砕けた甲羅のかけらと肉片が飛び散り、流出した大量の体液が海面を染める。GⅡは大きく咆吼すると、残り少ないエネルギーを収束してプラズマ火球を発射しようとしたが、ハドロンビームの直撃によって鼻先で爆発四散した。その反動でGⅡの巨体は大きく後方へはじき飛ばされ、大きな水柱を立てて海中に飲み込まれる。

 安全空域と思われる距離まで離れて状況を観察していたオスプレイもその爆発の衝撃波を受けて大きく上下に振動する。千里たちは必死で座席の安全ベルトを掴んで横Gに耐えていた。
   そのとき、オスプレイの上方を巨大な黒い影が高速で横切った。機体は再び激流を流れる木葉のように翻弄される。櫛田は渾身の力を込めてコントロールを失った機体を立て直す。千里たちはまるで過激なアトラクションに乗っているように顔面蒼白で、全身の筋肉が硬直していた。

 その巨大な影は一直線に海上の蒼龍王向かって急降下する。それはほかでもない最凶のガメラ、GⅢだった。GⅢはGⅡにはまったく関心を示さず、上空から蒼龍王に向かって3発の火球を連続発射する。米空母ホイットモアを撃沈したとき吸収したネオニュートロンによって変異したのか、それはGⅡの火球とあきらかに違い赤紫色に輝いている。
  蒼龍王の意思どおりうねるハドロンビームが2つの火球を破壊したが、残る一発が蒼龍王の三日月型の背中の突起を直撃した。突起は粉々に砕け散る。蒼龍王はもんどり打って海中に没した。数秒の後、再び浮上したが突起は再生する様子がない。あきらかにネオニュートロン火球は蒼龍王の再生能力を阻害していることが推察された。
「いける!いけるぞ!」
 櫛田が思わず叫ぶ。千里たち3人も瞬きするのも忘れ、巨獣たちの死闘を固唾をのんで凝視していた。

 その時、蒼龍王の背後の海中から水蒸気が立ち上がったかと思うと、炎熱の塊とかしたGⅡがいきなり蒼龍王の右上腕部に鋭い牙を突き立てる。不意に襲われた蒼龍王は左腕で払いのけようとするが、深く刺さった牙は簡単には抜ける様子がない。GⅡの全身はメルトダウン寸前まで熱せられて、まるで溶鉱炉で渦巻いている溶鉄のように照り輝いている。
  そのとき、上空からGⅢが再びプラズマ火球を放った。しかしそれは蒼龍王ではなく、GⅡに向かって一直線に降下してくる。
「いかん!やばい!」
 櫛田のオスプレイは状況を察知してフルスロットルで戦闘空域から離脱を試みる。
 GⅡは火球と接触した瞬間、目映い閃光を放ち蒼龍王を飲み込んで巨大な火の玉と化した。

イメージ 2
 
   オスプレイは再び大きな衝撃波にさらされる。今度はベテランパイロットの櫛田でもコントロールできない。強烈な乱気流に翻弄され、激しくローリングを繰り返しながら、かろうじて観音崎灯台付近の砂浜へたたきつけられるように不時着した。

   櫛田と千里たちは機体から転げ出るように脱出し海岸線の方向に振り返ると、数キロ先の沖合から空一面を覆い隠すかのように立ち上る巨大な紅蓮の火柱と黒煙の塊に視界のほとんどを浸食された。
 「ガメラ……」
  4人とオスプレイのクルーはただ呆然と波打ち際に立ち尽くした…

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 

あらら~GⅡまで吹っ飛んでしまいました
残るガメラはGⅢのみ…
はたして蒼龍王は
ジャイガーとイリスはどうなったのか
リガートを操縦する貴幸も気になります
はたまた米森と浅黄の運命は…
しっちゃかめっちゃかな展開で次回へ続く~