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Chapter49 『緋巫女』
   まさかそんな古の女王の名を聞くことになろうとは…米森は辰興の言葉がすぐに理解できず、呆然と淺黄の方向に振り向いた。淺黄はだまって辰興の顔を見つめている。 

   そのとき、古びた木製のドアがきしんだ音を立てて大きく開いた。入ってきたのは、全身が泥に汚れ顔半分が醜く崩れた女…手には赤い石の球体をかかえている。
「井氷鹿!なぜ帰ってきた。朱霊珠は無事か!」
いままで物静かに語っていた辰興が突然声を荒げた。
  先ほどとはうって変わって、表情は明らかに怒りに震えているのが見て取れる。
  井氷鹿は焦燥感と疲労感に包まれ肩で大きく息をしている。立っているのがやっとのような状態に見えたが辰興は、手を差し伸べることもなく、射るような視線でただじっと回答を待っているだけだった。

「劉朱鶏の大いなる御心はまたしても私を拒み出石の意思に従いました。でもご安心ください。私が朱霊珠を持っている限り出石が劉朱鶏になることはできない。そのときこそ私が…」
「たわけたことを、もう劉朱鶏におまえを受け入れる意思はない。しかし安心しろ。出石の魂がやがて綾奈に取って代わり劉朱鶏と一体となる。そうなれば劉朱鶏は本来の姿を取り戻し、蒼龍王とともにこの汚れた人間の世界を浄化する。おまえはただ出石が我々のもとに帰ってくるのを待っておればよいのだ」

「綾奈さんの意思は絶対に負けない。出石の思いもまた綾奈さんと同じ、あなたたちの望む世界には決してならないわ」
ずっと沈黙を守っていた淺黄が静かに口を開いた。
「私はガメラと心が通ったとき私の中にもう一人の私がいるのを感じた。でも今はなにも感じない。でも私の心の奥深くに眠っているのであればその人の力を借りてでもあなたたちの計画を阻止するわ。この世界は私たちみんなのものだからあなたたちの自由にはさせない。ガメラはあなたたちを許さない!」

「ほう…君にもうそんな力が宿っているとは思えないが…緋巫女は君の中ですでに永遠の眠りについているのかも知れない。おそらく二度と覚醒することはないだろう。仙台で勾玉が自壊したときに君の中の緋巫女は消滅したのだよ。あの勾玉は緋巫女とガメラを結ぶゆいいつのツールだったのだからね」
「緋巫女は裏切り者だ。我々を欺き、我々が創造した人間を先導し、多くの魂を幽世へ追放した。そして残った者は異端者として迫害した。おまえが現世のゆいいつの支配者として君臨しようとした罪は深い。なのにこともあろうか娘の出石が緋巫女に荷担するとは以外だった。しかしそれももうたいした障害ではない。再び現世と幽世を繋ぐ天磐門が開く時が来た。我々は神として再び現世に降臨する」
辰興は両腕を大きく拡げ狂気のごとく笑った。

 淺黄はすうっと魂が抜けたように立ち上がると、突然信じられないような素早さで脇にいた黒づくめの大男を突き飛ばす。米森もその瞬間倒れた男の持っていた拳銃を奪い取った。
 淺黄はすぐさまドアから駆け出す。米森も後に続く。ふたりは地下室に向かうと無我夢中であの謎の球体の渦の中に飛び込んだ。

 部屋の中では、辰興がふたりを追うこともなくかすかに微笑みを浮かべている。
 そして井氷鹿の状態など気にする様子もなく冷徹に命令した。
「まあいい。すべては計画どおり…おまえはすぐにふたりのあとを追え。そしてやつらの持つ三つの霊珠を奪ってこいそれが天磐門を開く鍵だ。私はルルイエへ向かう」

  どれほど時間が経過したのだろう。米森と浅黄は気がつくと冷たい地下室の床におり重なるように倒れていた。頭上では、例の球体が青白く光りながら不気味に蠢いている。
   米森は淺黄を支えると地下室の階段をよろよろと上っていった。はたして今がいつの時間なのか想像もできないが、少なくともさっきまでいた1945年ではないようだ。周辺の様相から最初侵入したときの廃墟のように思える。散乱した家具や調度品の残骸をよけながら、テラスから庭に出る。東の空はうっすらと白みかけていた。西の天上ではベテルギウスが不穏な緋色の光を放っている。
そのときかすかな振動と低い爆発音とともに北東の空が赤く染まるのが見えた。
「いこう!早く行かないと手遅れになる!」
米森は淺黄の手を取ると、足早に辰興の洋館から脱出した。

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どうもボキャブラリーがプアーでうまく表現できなくて
なんかいまいちおぼつかない展開ですが
大体こんな感じで次のステップへwww
次はまたまた大怪獣首都圏大乱闘 
乞うご期待