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2007年に制作された新進気鋭の映画監督 金子雅和 さん初の監督作品「すみれ人形」デッス

ある地方都市の寂れた寄席で、夜な夜な奇妙な腹話術人形劇を演じる男がいる。男の名は文月…少女のような声で「すみれ」と名づけた人形の言葉をしゃべる。すみれは5年前に右腕だけを残し失踪した、文月の妹だ。 腹話術師のかたわら妹を探し続ける文月は、ある日偶然訪れたストリップ小屋で、すみれの面影を強く感じさせる美しい女、蜜子を見かける。その女を追い求めていくうち暗い森へと足を踏み入れてしまった文月は、すみれが失踪して間もなく姿を消した幼馴染みの螢介と再会する。子供の頃から樹木医になることを夢とし、すみれの恋人でもあった螢介は森の奥に建つ廃墟で、いなくなったすみれを樹木で再生させようと、狂った実験に没頭していた。 すみれを捜し求める男たちは、それぞれの愛によって激しく引き裂かれていく……

サイコパスに襲われ、切断された右腕だけを残して疾走した妹すみれを捜す兄文月(小谷建仁)…文月の友人で樹木に以上に執着するすみれの恋人蛍介(松岡龍平)、そして5年後…場末のストリップ小屋で出会うすみれの面影を感じさせる女蜜子(山田キヌヲ)…この三人を中心に物語が進んでいきます。
意図的な演出なのか俳優さんたちのセリフの言い回しが稚拙で、まるで台本を棒読みしてるみたい…感情表現が欠落しているのが冒頭からすごく気になりました。インディーズ作品ですから、出演者の中で知ってるのはサイコパスの殺人犯役の綾野剛さんくらい…ほんの数分しか登場しませんがやっぱ存在感が違いますね。蜜子役の山田キヌヲさんもなかなか妖艶でミステリアスでした。

ストーリーだけ読むと猟奇殺人事件がテーマのサスペンススリラーみたいですが、上映時間63分と短く、物語の流れが抽象的でなにを表現したかったのかちょっと理解するのが難しい作品でした。
ドラマよりも世界観や映像美を鑑賞する作品なんだろうと思います。寺山修司や鈴木清順の映像作品にちょっと雰囲気が似てるかも~こんなのを官能映画っていうんでしょうかねェ~

構図や光線や色彩といった空間演出に芸術性を感じないでもありませんが、映像芸術としてはまだまだ完成度が足りない中途半端な印象です。まあ金子さんの映画美学校修了制作の作品らしいですから発展途上なのは分かりますが、ストーリーの展開や演出がはっきり言って消化不良です~
重い腎臓病の兄文月に腎臓を提供した妹すみれが退院した日、すみれは恋人蛍介との待ち合わせ場所でサイコパスに襲われ失踪…犯人は捕まり自殺という序盤は比較的ノーマルなミステリー的展開なのですが、5年後腹話術師になって妹を捜す兄のくだりからは、まったく作風が変わって寺山作品風の時代がかった幻想的な世界になります。なんか時間が逆行してるみたい…この世のモノとは思えない非日常的な空気感です。

クライマックスで文月は蜜子を殺害、自らも蛍介に襲われ、移植されたすみれの腎臓を切り取られてしまいます。それなのに動けるのも不思議なんですが、すみれの遺体が深い森の奥で蛍介に樹木と融合させられてミイラ化してるというのも非現実的…それにラスト、ミイラが燃え上がって消滅してしまうのもなにを表現したかったのか判りませんでしたです~
寺山作品等と比べるとインパクトもないし、骨格の無いぼやけた作風でした。はっきり言ってメリハリの乏しい退屈な映画です~インディーズ的と言えばそうなのかもしれませんけど、もう少しパンチ力がほしかったかも~印象に残ったのは綾野剛さんのサイコパス度と、ストリップ小屋の妖しいシーンだけでした…ダハハ