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2018年に公開されたサイコホラーアニメ「アラーニェの虫籠」…昨年5月、物語の前日譚となる「アムリタの饗宴」と二本立てで再公開されたリファイン版をアマプラの配信で鑑賞しました。

郊外の工場跡地に建つ巨大集合住宅…最近、女子高生の変死体が発見されたり、不可解な心霊現象が目撃されるなど、いわくつきの噂が絶えない場所だった。ここに引っ越してきた気弱な女子大生りんは、ある夜救急車で搬送される老婆の腕から大きな虫が飛び出すのを目撃する。虫のことが気になったりんは図書室で調べる内、民俗学者の時世と出会い過去にもこの地域で、奇妙な虫の目撃例が多発していたことを知る。それは“心霊蟲”と呼ばれ、古来から人知れず存在していたという。 “虫”を見た者の中には、不気味な予兆と共に、変死を遂げた者も少なくないため、“虫の呪い”ともいわれた。呪いの恐怖におびえる彼女は、不思議なオーラを放つ中学生奈澄葉や、呪術師の斉恩らとの出会いを通して、自らも蟲や怪異の正体に迫っていく。しかしそれはりん自身が、封印された過去と向き合うことを意味していた……

アニメーション作家の坂本サクさんが監督、原作、脚本、アニメ制作、音楽とすべてひとりでこなして製作された長編CGアニメ映画です~
ものすごく興味をそそるストーリーなんですが、良くも悪くも製作者の個人的嗜好が、色濃く反映された観念的な表現が多用されているので、観る側の解釈によってずいぶん印象が変わってしまう作品です。私のような様式美好きの保守的な思考回路を持った人間には、残念ながら理解することはかなり難しいですゥ~
 以前レビューしたユーフォーテーブルの人気アニメ「空の境界」に近いイメージの作品かも~
でもヴィジュアルはめっちゃミステリアスで美しく、ダークな表現も秀逸です。まるで、軍艦島の廃墟のような集合住宅の湿って沈殿したような重い空気感や、不安を掻き立てるような情景描写、グロテスクな姿をした心霊蟲なんかめっちゃそそられるものがあります
ちなみに「アラーニェ」とはダンテの神曲にも登場する、ギリシャ神話のクモ女アラクネのことだそうです~

さてさて、物語は対人恐怖症の女子大生りんの視点で進んでいくのですが、残念なことに凡人の私の思考では現実に起こっている事件と、りんの妄想との区別が最後まで釈然としませんでした。
猟奇的な連続殺人事件…民俗学者時世によって明かされる「心霊蟲」の話…旧帝国軍による死魄兵の実験…このあたりは現実に起こってる出来事のように思いますが、それとりんの住む不気味な集合住宅との関係、りんの過去と少女奈澄葉との関連、謎のベビーカーを押す女の存在もまったく説明がないので理解できません
キーパーソンの民俗学者時世や呪術師の斎恩、救済人と呼ばれる謎の青年も確信に触れないままあっさり殺されちゃいますし、一体何者が犯人なのか真相は闇の中、まったく謎のままですゥ…クライマックスにはまるで怪獣映画みたいに巨大な心霊蟲の大群が街を蹂躙しちゃいますし~ダハハ

それにラスト、まるでりんの夢落ちみたいな形でお話が唐突に終わってしまいます。りんという存在自体もいったい何者なのかゆらいだままです~
あまりにも観念的な場面が多いので、物語として芯が通ってない印象が強く、まるで作者が表現したかったことを並べたてた結果、焦点がぼけちゃっていったい何が真実なのかまったく整理できていない散漫な作品になっちゃてるような気がします。

一回観ただけではまったく判らなかったので、続けて二度観ましたがやっぱ脳が軟化したオヤジの思考回路ではすべてを理解するのは無理みたい…
前日譚を観たら、ちょっとは納得できるんでしょうかねェ~「アムリタの饗宴」はまだ配信されていないので結論はそれを観るまでお預けかも~ダハハ