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今日で松の内もおしまい…そろそろ正月気分も抜ける頃ですが…
アマプラで久しぶりに、めっちゃダークでヘヴィな戦争映画観てました~
1979年に公開されたフランシス・フォード・コッポラ監督の大作「地獄の黙示録」デッス
劇場公開版は何度も観てたんですが、2020年公開のファイナルカット版は初めて観ました。

ベトナム戦争中の1969年、米国陸軍特殊部隊カーツ大佐は、カンボジア東部の人里離れたジャングルの中の前哨基地を拠点として、米国軍、山岳民族軍、地元のクメール民兵部隊を指揮し、独立王国を築き、彼らに半神と崇められていた。南ベトナム軍地援助司令部に所属する工作員ウィラード大尉は、ニャチャンにある第1野戦軍本部に呼び出され、カーツを殺害しその指揮を終了させるよう命じられる。複雑な思いを抱きつつもウィラードは、フィリップス上等兵曹が指揮する米海軍の河川哨戒艇で乗組員のランスシェフクリーンと共に、ヌング川を遡ってカーツの前哨基地を目指すのだが……
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ファイナル・カット版は劇場公開版より35分長く、182分もある超ド級の大作です。
編集でカットされていたフランス人入植地のエピソードが追加されていますが、それまでの戦場とはかなり雰囲気が違うので、若干緊張感をそいでしまうような気がしてはたして必要だったのかどうかは疑問です~ファイナル・カット版よりまだ14分長い特別完全版というのもあるそうですが、正直147分の劇場公開版で十分かも~ダハハ

映画史に残る名作ですが、純粋な戦争映画とは少しコンセプトが違うように思います。もちろん第二次世界大戦ではなく、ベトナム戦争が舞台ですからテイストが違うのは当然ですが、従来ハリウッドでよく制作されていた、米軍の英雄的活躍を描く戦争活劇ではなく、戦争の狂気と不条理さ、戦場の幻想的で残酷な風景を描いたアーティスティックな作品ですね。
ドアーズ[The End] がめっちゃ印象的に使われています。

登場人物は主人公ウィラード大尉を含めて全員心身が病んで歪んでいます。長い間戦場にいるとだれもがそうなってしまうのかもしれません。
サーフィンをするためだけに村をひとつを焼き払うヘリ強襲部隊の隊長、指揮官不在なのにやみくもに攻撃を繰り返すド・ラン橋防衛部隊、臨検時にマリファナでラリって、無抵抗なサンパンのベトナム人を皆殺しにする若い兵士…戦争の残酷さと理不尽な行為が生々しく描かれています。

その中でもカーツ大佐の行動は異常で、カンボジア領内のジャングルに兵士を集め、自らの王国を築いています。なぜ大佐ひとりでそんな集団を築くことができたのかは描かれていません。国籍の違う大勢の兵士たちを膨大な力で支配しています。この辺の状況は、あまりにも現実離れしていてカルト教団的でもあります。

危機的な戦場をなんども切り抜けてようやく王国にたどり着いたウィラードに、淡々と語るカーツ大佐の話は常軌を逸しています。とくにべトコンが予防接種をした子供たちの腕を切り落とす話は衝撃的ですゥ~ただカーツ大佐が狂気に走った原因としては、客観的に観て説得力がないように思いますけど~結局、カーツ大佐はベトコンの一見冷酷に見える果敢で無慈悲な軍事行動に対して、堕落し無秩序な米軍に勝ち目はないと幻滅していたんでしょうね。そして自分の置かれてる状況に疲れてたんでしょう。だから自分を殺すにふさわしい人物を待っていた。それがウィラードだったというストーリーとしてはシンプルなお話です。
尺が3時間もあるのは、コッポラ監督がそれに至る過程を丁寧に描くことによって戦争の持つ狂気をより鮮明に描きたかったからでしょう。でもあまりにも濃密に描きすぎて自分でも何を描きたかったのか分からなくなったそうです。
確かに戦場はあまりにもリアルなのに、カーツ大佐の王国は幻想的で現実離れしていて、ちょっと前半と後半のギャップが大きいように思います~

とにかく、注目すべきはミステリアスなカーツ大佐(マーロン・ブラント)の存在ですね。登場時間は短いんですが、圧倒的な存在感です。ウィラード(チャーリー・シーン)が王国へ向かう道程で、大佐のプロフィールファイルを分析してるんですが、その謎に包まれた人物像が本人と対面して明らかになるシーンは衝撃的でした。大佐を殺害したウィラードは、自分自身に大佐の幻影を見たのかもしれません。ラスト、ウィラードが脱出後、主無き王国がいったいどうなったのかは描かれないまま物語は終わります。

前半のリアルな戦場描写と、後半のカーツ大佐の王国のイメージがあまりにも違い過ぎて、ちょっとちぐはぐな印象を受けます。それに3時間は少々キツイですねェ~途中で何度か意識を失いかけました…やっぱ一番印象に残ってるのはヘリ強襲部隊が「ワルキューレの騎行」を爆音で流しながら、村を焼き払うシーンでしょうか。あそこがこの映画で一番有名なシーンですね。
それとカーツ大佐が、ウィラードと話しながらスキンヘッドを洗面器の水で洗ってるシーンが妙に印象に残ってますゥ~

とにかく3時間、残酷で不条理な戦場を見せつけられ続けますから、やっぱドドっと疲れてしまいます~観るときはそれなりに心構えが必要な作品ですね。そこがやっぱ名作なのかもしれませんが、お正月に観る映画じゃないかも~ダハハ